麻酔とは・・・感覚をなくすだけでなく、
手術などの侵襲(ストレス)から生体を守ることです。
手術中の痛みの感覚をなくし、必要に応じて意識をなくし、安全に手術が受けられるようにします。手術中、麻酔科医は患者さんのそばにいて、手術中の全身状態をチェックします。具体的には、血圧、脈拍、心電図、体温、呼吸の状態、麻酔の深さを確認し続けます。そして、麻酔薬の調整や点滴による水分や電解質、栄養の補給、全身麻酔では人工呼吸、心臓が弱ったときにはお薬で心臓を助ける治療などを行います。
手術室での麻酔業務の他、ペインクリニックや緩和ケアでも多くの麻酔科出身の医師が専門性をもって診療をしています。
心臓、脳、肝臓など主要臓器の手術、長時間、出血量の多い手術、心臓、肺などの機能が弱っている患者さんの術後管理を担当する集中治療室(ICU: Intensive Care Unit)の業務にも麻酔科出身の専門医が従事しています。
吸入麻酔薬、静脈麻酔薬、筋弛緩薬、オピオイドなどのお薬を組み合わせて、手術中は意識が消失なく、痛みを感じず、安全に手術と麻酔を受けることができます。
主に腹部の手術で、背中から専用の針をさし、脊髄腔の近く(硬膜外腔)に直径1mm程度の細いチューブ(硬膜外カテーテル)を挿入します。術後は、2-3日痛み止めの薬を専用のポンプで注入し、痛みの軽減、除去を行います。
腰骨の隙間から局所麻酔薬というお薬を注射して、下半身全体を麻酔します。腰椎麻酔とも言われます。通常は手術中も意識はありますが痛みを感じることはありません。必要なときは少し寝ていただくこともあります。
手術時間が1時間前後以内の手指や腕の手術で行われます。手の先に薬剤投与用の点滴を取り、駆血帯(ターニケット)を上腕に巻いて、局所麻酔薬を静脈から注射します。これにより駆血帯より抹消側の上腕の鎮痛を行います。
手や足、腹部、胸部の手術をされる際に、末梢神経ブロックを行うことがあります。神経の通り道(筋肉や周囲の組織で囲まれたスペース)を超音波や神経刺激装置により、針先の位置を確認し、局所麻酔薬を注入します。
麻酔は、手術による痛みやストレスから身体を守る為に必要なものですが、併せて麻酔による望ましくない合併症も起こり得ます。そのため、術前に麻酔科医は、患者さんの全身状態、既往歴、内服薬をチェックして、必要に応じて追加検査や他科受診の依頼をします。予定手術の場合は、以下の流れの図のように、行われます。ただし、緊急手術の場合はこの限りではなく、その緊急性に応じた対応を行います。