兵庫医科大学/兵庫医科大学病院 麻酔科学・疼痛制御科学講座

周術期管理部門

【心臓麻酔グループ】

心臓麻酔は、麻酔科サブスペシャリティーとして全国的に最も人気のある分野です。麻酔科医が手術中の術式決定や、術後管理まで重要な役割を担っています。知識や技術を整理するために、経食道心エコー認定医(JB-POT)、心臓麻酔専門医の資格取得を目指します。朝の勉強会で、心疾患や経食道心エコーや先天性心疾患の講義、隔週土曜日には経食道心エコーシミュレーターを使用した実習、臨床工学技士による人工心肺の講義、実習を行っています。

【産科麻酔グループ】

帝王切開を受ける患者さんの数は増加しています。それに伴い麻酔科医が出産に関わる機会は増えています。健康な妊婦さんでも、非常に急ぐ緊急帝王切開になることもあります。私たちは帝王切開の麻酔を安全に行うためにシミュレーションを行っております。気道困難症、緊急帝王切開、産科危機的出血などのテーマに高機能患者シミュレーターを用いたトレーニングを定期的に行っています。「産科麻酔に参加しよう」や「KANSAI産科麻酔」にも積極的に参加して、産科麻酔のレベルアップを目指して奮闘中です。

【小児麻酔グループ】

小児は成人と比べて予備能力が低いため、小児麻酔を学ぶことは難しいと思われるかもしれません。当院では、小児麻酔の知識や手技を学んでいただけるよう、専門のスタッフが熱心に指導いたします。週2日の小児外科手術以外の日にも多くの診療科で多数の小児症例数あります。小児の心臓外科手術は行なっていませんが、専門医プログラム関連研修施設での研修が可能です。小児麻酔への苦手意識を少なくし、麻酔科専門医取得に向けた知識と技術のトレーニングを行ってもらえるようサポートしていきます。そして、未来の多い子供たちに安全な麻酔を提供できればと思っています。

【腎臓・代謝関連グループ】

腎臓は心拍出量の20%を受け取る臓器です。その機能は水分電解質バランスの保持から血圧調整まで多岐にわたり、機能維持のためには注意深い血圧管理と輸液管理を行うことが必要です。したがって、麻酔中は心臓や大血管系にも注意を配ると同時に腎臓内部の髄質や糸球体周辺の微小血管系にも目を凝らしています。腎臓の機能を守ることは、同時に腹部の主要臓器を守ることにほかなりません。腎臓は他の腹部臓器と比べて高い平均血圧を必要とするからです。腎臓を守れば他の臓器も守れる。派手なイメージはないけれど、地道に丁寧な麻酔を必要とする、腎臓はそんな臓器です。そんな腎臓そのものを考えるには腎移植の麻酔がわかりやすい。腎提供者から腎臓をいただくところから始まり、移植された腎臓が新しい身体で気持ちよく目覚め、十分機能できるように体内環境を整えます。一方、不幸にも腎臓を失ってしまった方々の手術も注意深い丁寧な麻酔が必要なのは言うまでもありません。溢水、脱水を避け、自己尿、内シャントを守る、言うは易く行うは難しいですが、日々地味に勉強して臨床に向き合っています。

手術ストレスから腎機能を守るためには注意深い循環・体液管理が必要です。特に、腎機能低下症例、慢性腎不全を伴った透析患者の麻酔管理の細かな知識と経験は、麻酔専門医になる過程で非常に重要です。当科では、腎機能低下症例、透析患者、さらには生体腎移植(ときに死体腎移植)の麻酔を多数経験しトレーニングを積むことができます。派手さは少ないかもしれませんが、とても奥が深く興味は尽きません。麻酔のプロフェッショナルを目指す先生の参加をお待ちしています。

【神経ブロックグループ】

超音波ガイド下神経ブロック法は、これからの麻酔科医が学ぶべき専門分野として大きく発展を遂げています。質の高い術後鎮痛を提供し、患者さんの早期回復に貢献できる、やりがいのある分野です。安全に行うための解剖学的知識や安定した手技の習得を、勉強会を開催するなどしてサポートしています。後期研修の2年間で、各種の基本的な体幹、四肢を始めとしたブロックを確実に実施できるレベルを目指し、習熟したスタッフが指導しています。

【シミュレーショングループ】

急性医療総合センター内に設置されているシミュレーション室で、学生教育や研修医、レジデントを始めとした若手医師の教育、さらにはシミュレーション関連の研究活動を行っています。シミュレーターは日常診療の場面のみならず、危機的状況への迅速な対応力を養うことのできる貴重なツールです。これからも興味を持ってくれる若手の先生と一緒に勉強していきたいと考えています。

ペインクリニック

【ペインクリニックとは】

ペインクリニックの「ペイン;pain」は「痛み」の意味で、我々の診療科は「痛み」を診ます。痛み治療は早期から開始すると治療効果が高いとされる一方で、治療の開始が遅れると痛みが難治化(治りにくい)する恐れがあります。痛みは患者さんの生活レベルを著しく低下させるため、我慢しないで早期から専門的な治療を開始することが元の生活に戻る近道となります。痛みの治療方法は症状により変わりますが、神経ブロック療法、薬物療法や物理療法を用います。痛みが持続している期間が長い(慢性痛)患者さんには精神的な症状が出現する場合もあり、心理的なサポートを含めた治療を行っています。

ペインクリニック部 恒遠 剛示

【研修内容】

近年、痛み治療が注目され、それに伴い痛み治療に用いられる薬剤が増加傾向にあります。また、超音波ガイド下・透視下による神経ブロックの安全性の向上により、痛み治療の「質」が重要となっています。ペインクリニックでは「痛み治療の質」にこだわり日々の診療を行っています。

【初期研修医に対する教育内容】

ほとんどの科において、痛みを訴える患者さんに遭遇します。上に述べた、痛み治療の選択肢の増加により、近い将来、軽度の痛みであれば自身で痛み治療を行う必要性が出てくる可能性があります。痛みの機序診断と薬物療法について研修を行います。癌性疼痛も診ますので、オピオイドの使い方を学ぶことが出来ます。また、他の診療科でも必要な神経ブロック(トリガーポイント注射や脊髄クモ膜下ブロック)の習得も可能です。 【レジデント(後期研修医)に対する教育内容】 痛みの機序診断、薬物療法に加えて、インターベンショナル治療(神経ブロック療法、脊髄刺激療法など)の習得を目指します。当部門では日本ペインクリニック学会の指導認定施設になっていますので、日本ペインクリニック学会専門医の取得が可能です。手術麻酔に加えてサブスペシャルティの習得をお考えの先生、一度覗いてください。

【レジデント(後期研修医)に対する教育内容】

痛みの機序診断、薬物療法に加えて、インターベンショナル治療(神経ブロック療法、脊髄刺激療法など)の習得を目指します。当部門では日本ペインクリニック学会の指導認定施設になっていますので、日本ペインクリニック学会専門医の取得が可能です。手術麻酔に加えてサブスペシャルティの習得をお考えの先生、一度覗いてください。

緩和ケアセンター

緩和ケアは生命を脅かす疾患による問題に直面している患者さんとその家族の方々に対して、苦痛の緩和を行う部門です。
近年、「診断されたときから緩和ケア」と早期からの緩和ケアを厚生労働省が推進している事もあり、様々な診療科から緩和ケアセンターに紹介される患者さんの数が、年々増加傾向にあります。
麻酔科医としての全身管理の経験、ペインクリニック医としてのペインコントロールの経験を生かして総合的な症状緩和を行っております。
総合力が求められる領域ですが、それ故のやりがいも感じる事が出来るかと思います。


周術期管理チーム

周術期管理チームは手術前、手術中、手術後の患者管理をチーム医療で行うため、2016年4月に編成されました。現在の業務は、手術前の麻酔管理のための診察、禁煙指導、口腔ケアを行い、手術中の意識のない患者さんのお傍では常に患者さんが快適に手術を受けることができるように術中管理を行い、術後は感染対策、重症患者さんの集中治療を行っています。今後は術前の服薬管理、術後の早期離床を促進することにも力を入れたいと考えています。現在のチーム構成は、医師(麻酔科・疼痛制御科、集中治療部、歯科口腔外科)、看護師(手術センター、禁煙外来、感染制御部)、薬剤師(手術センター)、臨床工学技師、事務員(手術センター)です。

また麻酔科外来では、全身麻酔や脊髄くも膜下麻酔を受けられるすべての患者さんに対して、手術や麻酔を受けるために必要な診察や検査を行い、麻酔やその合併症について説明しています。

ICUとの連携

当院には麻酔科学・疼痛制御科講座と集中治療学(ICU)講座の2つがあります。毎朝8:00AMから麻酔科とICUの朝の症例検討会を行い、常に情報交換しています。レジデント1−2年目の麻酔科医は2ヶ月間ICUローテーションをし、ICU管理を学びます。重症患者の術後管理、内科重症患者のICU管理、治療を経験することで全身管理の知識向上や外科医との連携を学ぶことができます。